地域資源が生み出す、これからの豊かさ

今あるものを活かす、地域再生の視点
最近、どこに行っても同じような景色ばかりだと感じることはないでしょうか。私は札幌に住んでいますが、東京などへ出張する機会があります。仕事関係の知人や友人と食事をする以外にも、ホテルの近くのコンビニへ食事やおやつを買いに行くことがありますが、そこにはいつも札幌と同じ商品が並んでいます。均質化され、便利になった社会は快適である一方、その土地独自の「らしさ」や個性が失われているようにも感じます。
大都市圏以外の地域では、若年層の都市部への流出に伴って地域の産業や伝統を継承する担い手が不足し、地域経済は厳しさを増しています。従来、過疎化や高齢化が進む地域の活性化といえば、全国総合開発計画に代表されるように、東京などで繁栄している大企業の工場を誘致したり、巨大なハコモノ建築を建てたりする手法が主流でした。
しかし、こうした外部資本に依存した経済モデルは、ひとたび景気が悪化すれば容赦なく撤退されてしまうというリスクを伴っています。地域経済を活性化するためには、それぞれの地域に刻まれている固有の歴史、文化、自然、そして産業といった「地域資源」を見つめ直し、活かしていくことが極めて大切なのではないでしょうか。
地域資源を活かす最大のメリットは、その地域ならではの唯一無二の価値を創造できる点にあります。地域の気候などの地理的な条件によって育まれてきた特産品や、独自の伝統工芸、豊かな自然環境といった地域資源は、他者が簡単に模倣することのできない「宝物」です。こうした地域の特色ある資源を現代のニーズに合わせて磨き上げ、価値を高めていくことで、定住する人々を呼び込み、地域内でお金が循環する自立した経済基盤を築くことができるはずです。
さらに、地域資源の活用は経済の活性化にとどまりません。そこに住む人々が、自分の地域に対して誇りや愛着を持つきっかけにもなります。これは「シビック・プライド」と呼ばれ、地域の未来を担う新たなキーワードとして注目されています。
「自分の住んでいる街には何もない」などと諦めるのではなく、地域のことやものを客観的に見つめ直すことが重要です。そうすることで、見慣れた日常の風景が、価値ある資源へと変貌を遂げていきます。大切なことは、今あるものを組み合わせる「ブリコラージュ」です。ないものをねだるのではなく、今ここにある歴史や自然、人々の営みを愛おしむこと。これこそが、人口が減少し、経済的な厳しさが増す現代社会において、私たちが目指すべき「成熟した豊かさ」の形ではないでしょうか。
そのために重要なのは、地域資源をただそのまま放置するのではなく、時代のニーズに合わせて「翻訳(interpret)」する仕組みです。地域の伝統を守りながら、現代のニーズに寄り添う発想へと転換していかなければなりません。地球規模の環境問題や社会の不確実性が増す中で、地域が持つ独自の輝きを活かすことは、地域の強靭性(レジリエンス)を生み出す原動力となります。地域の足元に目を向ければ、そこにはたくさんの宝物があります。ちょっと視点を変えて、身近な日常を見つめ直してみませんか。

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