気候変動対策COP29の成果は?

COP29:気候変動対策の成果と課題
アゼルバイジャンのバクーで開催された国連気候変動会議(COP29)が11月24日に閉幕しました。この10年間における温暖化の原因、CO2の排出の75%は新興工業国からの排出であり、対策のためには先進国が支援していく必要があります。今回の会議では、途上国の脱炭素化、異常気象による被害対策を支援するための「緑の気候基金(Green Climate Fund)」が主要な議題となりました。
合意文書では、先進国が年間1千億円を供出することとしていた資金を2035年までに3倍の3千億円まで増額し、官民で35年までに少なくとも年に1.3兆ドルの投資をすること、途上国も任意で資金を拠出することを奨励することなどがまとめられました。しかし、この金額では十分ではないとの途上国、新興工業国から不満が出されました。また、脱化石燃料に関する取り組みについては、昨年、開催されたCOP28の合意文書を確認するに留まり、進展は見られませんでした。
今回の会議では、紛争や分断が続いている国際情勢、地政学的な思惑の下で、各国の方針がまとまることができるかが課題となっていることから、合意に至るまで日程を延長するなど、まとめることが難しかったようです。特に最大の資金拠出国であるアメリカでは、温暖化対策の枠組みを定めているパリ協定から脱退する意向を示しているトランプ氏が大統領に就任することから、アメリカの今後の行方について懸念が広がっていることや、石油、天然ガスを産出するアゼルバイジャンが議長国となっており、アリエフ大統領が化石燃料を「神の惠み」と演説し、フランスが担当大臣を見送るなどの混乱もありました。さらに同時期にブラジルで主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催されており、アメリカなどの首脳が欠席しました。温暖化が化石燃料の消費によることは明確であり、影響は世界各地で深刻さを増し、対策が急務であることから、国際社会が結束し、官民、そして市民が危機感を持つことが求められます。
会場では、アメリカの何千もの地方自治体、企業、教育機関、宗教団体、健康や文化の関係団体がメンバーのNGO、America Is All In が気候変動対策を進めることを求めるイベントを開催しました。
日本でも自治体などの脱炭素の取り組みが進められており、COP29においても日本は、Solutions to the World(世界へ解決策の発信)というパビリオンを出展し、企業もそれぞれの取り組みを紹介しました。
地球的規模で問題を見て、行動は足元から、という環境問題に対する取り組みのあり方を示すフレーズがあります。「沸騰している」とまで言われる温暖化問題に対して国際的、国家的な取り組みはもちろんですが、企業や自治体、そして市民一人ひとりが気候変動に対する正しい理解とそれぞれができることに取り組んでいくことが求められています。

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