ラグビーが教えてくれる「One Team」の精神と社会への貢献

ラグビーというスポーツ競技をご存知でしょうか。2015年、イングランドで開催されたラグビーワールドカップで、日本代表が優勝候補の一角、南アフリカを破った試合は「ブライトンの奇跡」と呼ばれ、世界中に驚きと感動を与えました。さらに2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催され、日本代表は史上初のベスト8進出を果たし、日本中がラグビーに熱狂しました。
ラグビーはどこに転がるかわからない楕円形のボールを使い、相手のゴールに向かってボールを運ぶ競技です。激しいタックルなど、身体をぶつけ合う接触プレーが多いことから、屈強な男子のスポーツのように思われていますが、最近は、プレーを楽しむ女子も多く、また、タックルを禁止して安全性を高めたタッチラグビーもあり、子どもたちも安全に楽しめるようになっています。
ユーミンこと荒井由美さんの名曲「ノーサイド」はラグビーの試合終了のことを指していて、試合終了直後の情景を歌うとても印象的な曲です。「ノーサイド」は、和製英語で、本来のルールでは、試合終了を「フルタイム」と言いますが、「ノーサイド」は、試合終了後に敵味方を超えた友情や敬意を意味していることから、ラグビーの精神を示すものとして世界中で共有されています。
ラグビー競技は、「ボールを前に投げてはいけない」というルールが特徴で、味方へのパスは必ず横か後ろでなければならず、前進するためにはチーム全員が力を合わせる必要があります。1チーム15人でそれぞれのポジションには明確な役割があり、力強く相手と組みあうフォワードが8人、スピードと瞬発力でトライを狙うバックスが7人。フォワードは、体重が重く、がっしりした体型の選手が多く、バックスはスピードと判断力が求められることから小柄な身体でも活躍することができ、体格に関係なく、それぞれの特性を生かし、全員が一丸となり目標へ向かって進むチームワークが勝利への鍵となります。
そしてラグビーを象徴する言葉「One for All, All for One」、一人はみんなのために、みんなは一人のために。これは単なるスローガンではなく、社会で生きる私たちにも通じる考え方です。
私もかつて思い切り相手に身体をぶつけることができること、グランドに無造作に叩きつけられ、泥んこになることだけのためにラグビーを楽しんでいましたが、このフレーズを今になって思い出してとても心に響いています。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。チームのためとは、個人主義が進んでいる社会に対して自分のためだけでなく、誰かのために行動する「利他の精神」を象徴しているように思います。もちろん、ゴールに飛び込む一人の選手のために、他の選手たちの支えがあります。そのようなことから日本代表は「ONE TEAM」を掲げていたのだということを改めて感じます。ラグビーは多様な選手が活躍できるスポーツであるとともに、一つの目標に向かってそれぞれの強みを活かすこと、そして共に生きる「共生」の大切さを伝えています。これからシーズンを迎えるラグビー。機会を見つけてゲームをご覧ください。前にパスを投げられない制約の中で、仲間と共に前進する。選手たちの連携や信頼関係、「One Team」に注目してみてください。ラグビーはチームづくりの大切さを教えてくれる魅力あるスポーツであり、私たちがより良い社会を築くためのヒントがそこにあると思います。

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