老舗のように、長く愛される企業へ

持続する経営に必要な信頼と役割

企業の本質的な目的は、利益追求ですが、近年、それだけではない取り組みを行っている企業が注目されています。そこで企業の目的について改めて考えてみました。

 その前に、まず企業の寿命についてみてみましょう。長年にわたって暖簾を掲げてきた老舗の中には(江戸時代の)◯◯年創業などと謳っている店もみられますが、一般的に、企業の「寿命」は30年程度と言われています。例えば、東京商工リサーチの調査によれば、2022年に倒産した企業の平均寿命は23.3年だそうです。

消費者ニーズの多様化、目覚ましい技術革新、社会情勢の変化などによって企業を取り巻く環境は、近年一層厳しさを増しており、これらに対応できない企業は淘汰されていることから企業の寿命は短くなっている傾向にあるようです。ちなみに人間の一世代というのもおよそ30年だそうです。

 さて、「持続的」とは、ある状態や活動が長く切れ目なく続く様子を表す言葉です。継続して変わらない状態を維持する、あるいは将来にわたって同じ状況を保ち続けることを意味します。企業が持続して経営を続けるためには、単に利益を追求するだけではなく消費者や地域社会から信頼を得ることが重要になっています。

企業が信頼を得るために不正や不祥事を起こさないことは当然ですが、環境に対して配慮している姿勢も重要です。気温の上昇や、記録的に早い梅雨明けなど、気候が変化していることを実感することも多いと思いますが、その対策として、自らできることに取り組むことは企業にとって必須になっています。

また、地域社会の課題に取り組むことも、地域社会から信頼を得るためには重要です。このような環境や社会に配慮した経営は、結果的に長期的な企業の存続と成長につながります。なぜなら社会的意義のある事業に携わることは、社員の働きがいに直結するからです。特に若年層を中心に、利益追求だけでなく、「やりがい」や「意味のあること」を求める意識が強まっていることから、そのような企業には、意識の高い優秀な人材が集まり、定着しやすくなります。これは企業の持続的な経営にとって大きな戦力となります。

さらに社会や地域の課題をビジネスの視点で捉えることによって、新たな商品やサービスのシーズ(種)として開発することで、結果として収益にもつながっている事例も数多くあります。

近年、投資家や金融機関もESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを重視しており、それに積極的に取り組む企業は、投資対象として高い評価を得ることができます。

地球、そしてわたしたちの生活を持続可能なものとするためには、企業経営も持続的でなければなりません。まず、利益の追求とともに、社会や地域から信頼を得るための経営方針を掲げていきましょう。

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